香(こう)との縁

地域や文化により異なりますが、一つには、香の風習が生まれたのは、「部屋の臭気を消したり、空気中の雑菌を抑えたり、身体から発する臭気を消すために身体に塗ったり」したことが始まりで、ヨーロッパの香水も同じ発想のようです。
日本人は、もともと体臭が薄い民族ですから、このような自然発想ではなく、仏教などの伝来とともに浸透していったともいわれています(香が日本に伝わったのは天平時代ごろ)。
人が亡くなり注意を怠ると臭気が強くなります。
そこで香に対する関心が高まり、「焼香(しょうこう):葬式の風習などに見られる香を焚く」や「塗香(ずこう):香を手や身に塗って体を清めたり、仏像や修行者の身体に塗って汚れを除き邪気を祓(はら)う」を仏教の作法(仏を供養する作法)に取り入れたのです。
初期のころは、仏教の儀式で焚く香は、弔問者が持参するのが習わしでしたが、やがて、香の代金として渡す習慣が出来、それが現在の「香典、香奠(こうでん)」の起源だといわれています。
eお坊さんねっと 説話集より