百尺竿頭進一歩

“百尺竿頭(ひゃくしゃくかんとう) 更に一歩進め”という意味合いで、「百尺は約30メートル、その長い竿のてっぺん(竿頭)まで登りつめても満足することなく、更に一歩を進めろ」ということわざです。
 「更に一歩、歩を進めよ」と言うことは、“百尺の竿(さお)の先からも踏み出すほどの覚悟を持って行動しなさい"と捉えるべき重い言葉です。 たとえば、部下に指示したことに対しての進捗状況などを確認すると、自信のある場合には大体、「すでに万全の体制で、対応しています」とか、「十分に説明は行っていて手抜かりはありません」という返答があるでしょう。
それに対して、「さらに改善すべきことを考えなさい」、「さらに今一度説明しておきなさい」などと言ったとすると、「えー……」と言って悩み込むはずです。しかし、“一歩を進めるということは、振り返ることである。自らを振り返り、原点に立ち戻ったうえで、さらにもう一歩前進することはないかを考えることが重要であると理解せよ”という、まさに禅問答です。
しかし、調子のいい時ほど、基本や原点を見失うことには要注意です。企業(組織)運営では、小さな綻びから取り返しのつかない大きな穴に拡大しないよう戒めつつ、石橋を叩きながら先の一歩を見つけることが必要かも知れません。
「自信」と「天狗」は大きく違います。誰しも、苦労して手にした環境(場所、状態など)が、見晴らしもよく気分も爽快なところであれば、居心地も良く変化させたくない(安住したい)のが人情かもしれませんが、そこで満足していては、進歩も発展もありえません。廻り(人、環境など)はどんどん進歩(変化)しています。
 「百尺の竿頭は百尺先にあらず。自身の足元、目の前にあり!!」
参考:『東京IT新聞 「IT坊主の無駄方便」』