日本語あれこれ(長者の万灯より貧者の一灯)

辞書では、「金持ちの多くの寄進よりも貧しくても心のこもったわずかの寄進のほうが、功徳が大きい。形式よりも真心が大切である。」という意味合いで解説されています。仏教の故事・ことわざです。
この由来には諸説あるようで例えば『古代インドの大国の一つであったマガダ国の王子が、父である王を殺害して王位に就いたのです。その後、王は懺悔の為お釈迦さま(仏教の開祖)に帰依(きえ:教えを信じて教えに従う)しました。帰依したことを民衆(国民)に誇示しようと考え、お釈迦さまを王宮に招き、おもてなしを行い帰り道にはたくさんの灯(万灯)で足元を照らすことにしたのです(このこと全体を供養といいます)。その噂を聞いたお釈迦さまを崇拝している一人の女性が、自分も供養をしたいと思ったのですが貧しさのため多くは叶わず、出来たのは灯り一灯のみを灯す油代の工面でした。王宮でのおもてなしの帰路では、王の用意した万灯は消えたり灯ったりの状態でした。女性の用意した一灯は朝まで赤々と光り続けていた。』というエピソードからと云われています。
「世間体を飾った(装った)多くの事柄よりも、少なくても、誠意(真心)のこもっているほうが尊い」ということです。“お・も・て・な・し”も同じ「こころ」のはずです。
IT坊主のひとりごと「IT坊主の無駄方便」集より