暗証番号の“暗証”は仏教語

暗証番号の“暗証”は仏教語というのはご存知でしょうか。「暗証禅師(あんしょうのぜんじ)」という言葉から来ています。 暗証の「暗」は“くらい”、「証」は“悟(さと)り”で、「坐禅ばかりしていて悟りに暗い(教理に暗い)」つまり、坐禅ばかりに打ち込んで(重視している)教えの理解に乏しい禅僧のことを指して言ったのが元々の意味合いでした。
その後、転じて「暗」は“見えないところでの「本人だけ」”、「証」は文字通り“あかし”と解釈し、「本人であることを暗に証明すること」という意味で使われるようになったのが、近年日常使用している暗証番号の“暗証”です。
補足ながら、この言葉「暗証禅師」に対して禅宗から他宗派へは、
・文字法師(もんじのほうし):教理の研究ばかりするあまり、実践である修行の方面を忘れている
・誦文法師(じゅもんのほうし):経典をただ唱えているだけ
などという表現があります。 これらのことに関して、吉田兼好は『徒然草』で、「文字の法師、暗証の禅師、たがいに測りて、己(おのれ)にしかずと思へる、共に当らず」と書いています。 これは、“お互いに「実践こそが重要だ」、いや「理論こそが重要だ」と争って、どちらも自分より理解していないと言っているが、どちらも的を得ていない”と非難しているのです。“どっちもどっち”ということでしょう。どちらが先で、どちらが後ということではなく、理論も実践も重要なのが現代IT社会であり、お互いに補完(裏付けとなる強い関係)させ、上手く活用することが必要なのです。なお、暗証番号の定期的な変更は重要です!!
参考:『東京IT新聞 「IT坊主の無駄方便」』