人と人の出逢い

『我逢人(がほうじん)』、「我(われ)、人と逢うなり」、人と人が出逢う尊さを表した言葉です。
「出会う」と「出逢う」は、それぞれの表現や解釈もあるようですが、ここでは“出逢う”を使います。
誰もが、誕生すると親に出逢い、家族に出逢い、やがて出逢いの輪が広がり、人生は出逢いの連続です。
この「我逢人」の三文字は、道元禅師(どうげんぜんじ=鎌倉時代の禅僧)が、修行で中国(宋)に渡り、如浄(にょじょう)禅師と対面を果たし、「ようやく真の師匠に逢えた」という喜びを得た様子を、“まのあたり先師をみる、これ人に逢ふなり”と表現した言葉です。
この場合の出逢いは、人生における師匠とめぐり逢えることができた、何事にも代えられない喜びの出逢いです。
このように想う人にめぐり合えることは幸せです。
如浄禅師は、世俗の権力を徹底的に遠ざけ、世俗的な名誉を求めず、真の坐禅修行を説いた禅者とされています。
出典:東京IT新聞 「IT坊主の無駄方便」より抜粋し編集