規矩不可行尽(きく おこないつくす べからず)

中国宋の時代、ある寺を任せることになった弟子に「法演(ほうえん、〜1104年):禅宗の高僧」が与えた四戒「法演の四戒(ほうえんのしかい)」のひとつで、 “ルールばかりに縛られるな!”です。
「規矩(きく)」とは基準(マニュアルなど)のことです。組織(企業など)ではルール無くして人は動かせません。
しかし、厳格に決めて、その通りに実行するとなると人は規則に縛られ息苦しくなり、ストレスを感じたり、規則さえ守っていればいいだろうなどと思うことにもなります。
「うちの会社は、こういう規則(ルール)になっていますから」なんていう顧客対応をしていませんでしょうか。相手に失礼というばかりでなく、規則で縛りつけすぎると、伸び伸びと育たず、仕事のやる気度も低下します。自分で考えることもしなくなり、臨機応変に考え対応するという意欲もなくなります。悪い評判が立つとお客様は来なくなるでしょう。
ルールは、時代や場所によっても異なります。人を活かすには、一人ひとりの個性を見て、組織に合ったものに変化させていくことも必要であり、企業存続の原点です。それがリ−ダーに求められる素質の一つです。ましてや、リーダー(トップ)自ら法を犯すなんていうことは以ての外です。
「ルールばかりに縛られるな。時代や社会の変化、人の感情の揺れ動きも見逃すな!」という戒めです。
『東京IT新聞 「IT坊主の無駄方便」』より抜粋編集