福不可受尽(ふく うけつくす べからず)

中国宋の時代、ある寺を任せることになった弟子に「法演(ほうえん、〜1104年):禅宗の高僧」が与えた四戒「法演の四戒(ほうえんのしかい)」のひとつで、 “幸せは他人にもおすそ分けを”です。
“福”は、幸福、幸せ、いいことなどなど、誰もがほしい(手に入れたい)と想っています。眼に見えるもの、眼には見えないこと、身体で・心で感じること、過去のこと、現在のこと、あした(未来)を想うことなど、人それぞれです。 しかしこれらを全て、自分一人で受けつくすのではなく、「少しでも人様にお分けする心を持つべし」。
そういった心を持たない生活を送っていたら、いずれ孤立しますよ。という厳しい教えです。 ビジネスでも同じことです。受注した仕事は自分の力で獲得したもの、手に入れた情報は自分のもの、地道な活動や情報発信も行わないで成績も情報もほしい―、こんなご都合主義では、“福”は早々に退散することでしょう。 「自分の得ばかり求めすぎるのもいい加減にしろ。いずれ『縁必孤(えん かなわず・こなり)』のごとく、必ず孤独になることを覚悟すべし!」という戒めです。
『東京IT新聞 「IT坊主の無駄方便」』より抜粋編集