説話(折り合い)

サラリーマン時代、定年退職された先輩から、
“会社に居たころはいつも見えない雲が頭の上にかかっていた。退いた瞬間、空が青いということに気付いたが、会社を離れても時々霧が掛かることがある。人間長くやっているといろんなシーンに遭遇するから適度に折り合いを付けながらやっていかないと身が持たないぞ!!”
と言われたのです。
確かに、常に竹を割ったようにすっきりとした事柄ばかりではないのが世の常。往々にして、「大人の社会」などと言って自分を納得させている事があります(そう思わないと先へ進めないこともある)。
こんな状態のことを「折り合いを付ける」ということらしいが、どうしても「折り合いをつけられない」性分が顔を出し、お利口さんに立ち居ふるまえず、社会的には「お馬鹿」なのだろうと思う事が往々にしてありますが、人間は生もの、腐ることもあります。一人で生きていくことは難しい。どこかで妥協を探る必要がある。「上手に折り合い」をつけながら、生きていける人を、「世渡り上手な賢い人」と言う。“人間、怒るか、泣くか、笑うしかない、どうせなら笑ったほうがいい”。
「ノー天気」と言うのも「折り合いの一つ」らしい?』
マキコーポレーション「先輩からの贈り物集」
eお坊さんねっと 説話集より