説話(禅でいう挨拶の解釈)

仏教の禅の用語では、「禅問答」において一方が相手の力量を測るための積極的な攻め込み、突き進む(「挨」)に対して、すかさず切り返す、切り込む(「拶」)状態を「一挨一拶(いちあいいちさつ)」といいます。
相手の境地、力量を見定めあう丁々発止のやり取りの様子をあわした言葉で、一方が言葉を投げかけて、その反応から相手の値踏みするわけですから、決して油断はできません。
又、「挨」には開く、押す、迫る、近づく、という意味があり、「拶」にも同じように、迫る、近づく、という意味を持っていて、互いに心を開いて接し、ひいては互いに認め信じ合い、人間関係を大切にする言葉であり所作です。
しかしこのままの理解では、挨拶=ピリピリと気が張った状態のものになってしまいますが、これを日常生活での解釈に置き換えると、挨拶の「あい:挨」は近づく、接近するという解釈で、「さつ:拶」は積極的に導き出すということになり、コミュニケーションをとる所作(行為)のひとつです。
eお坊さんねっと 説話集より