説話「追善供養(ついぜんくよう)」

そもそもの意味合いは亡くなられた方の冥福(めいふく)を祈り、善い事を後から追って修することです。
私達は善い事も悪いことも積み重ねながら暮らしています。さまざまな経験を積み、その過程で自分の心を見つめ、静かに自己反省(懺悔)しながら、自分の人格を磨く努力を重ねていきます。十人十色、いろいろな方法で善業の積み重ねを行ないます。
先祖のもとへ善業を積んだ時の慈悲・慈愛の心を届け、その功徳によって、どうぞ安らかにという願いを込めて供養するのです。私達は生命の恩恵により互いに依存しあっています。
追善供養の法会(ほうえ)では、香を焚き、花を供え供養します。香煙やお花は「自分がいる世界だけでなく、全ての世界にまで漏れることなく満ち満ちていく」そんな想いで供養することが大切です。
僅かな時間でも、素直な心で妄念(もうねん)を止め、正しい智恵と慈悲の心をもって供養すれば、その気持ちは必ずご先祖に通じるという考え方です。過去から脈々とした流れがあって、そして未来へと繋がっていくのが世の常です。
eお坊さんねっと 説話集より
参考:「天台宗法話集より抜粋・編集