説話「名刹・古刹(めいさつ・こさつ)」

名刹・古刹というと、有名な由緒あるお寺や歴史があり古いお寺をいいますが、それではなぜ「刹」の字がお寺の事をさすのでしょうか?
刹には二つの意味があります。一つはサンスクリット語(古代仏教言語)の音写で、刹多羅(せつたら)や差多羅(さたら)と表記され、土・地・田・国・国土などと意訳されます。また広義で、土地・領地・田畑・などを意味し、転じて神聖な土地・聖地や仏が現れて衆生(人々)を教化(教え導く)する世界をも意味する語となりました。
もうひとつは、同じくサンスクリット語の音写で、柱・竿などと意訳されます。古代インドや西域ではお寺の堂塔の前に柱や竿を建て、先端に各種の目印をつけてお寺の標識にしたり、僧侶が修行の末、一法(いっぽう)を得た時、柱の先端に旗を付けてお寺の周辺や遠方の人に知らせたそうで、そうしたことからこの語が、やがて寺院を意味するようになったのです。
eお坊さんねっと 説話集より
参考:「天台宗法話集より抜粋・編集