除夜の鐘百八つ

除夜の鐘は、昔、中国の仏教儀式では、弱く五十四、強く五十四鐘を打ち、合わせて百八つ打ったそうです。
後になって、百八つの人間の煩悩(ぼんのう)をはらうために打つといわれるように変わってきました。
なぜ百八なのかという理由はいくつかあるようで、俗説では、四苦(四×九=三六)と八苦(八×九=七二)の和(合計)が百八だから、などといいます。
人間が持っている煩悩(ぼんのう)は計りがたく沢山あるということです。煩悩とは、私たちの心身を苦しめ、煩わす心の働きのことですが、その元(もと)になる作用は三毒(さんどく)といって、貪欲(とんよく、むさぼり)、瞋恚(しんに、いかり)、愚癡(ぐち、おろかさ)の三つに集約されます。この三種の毒は、心を病ませ、正しい判断を狂わせてしまいますから、除夜の鐘は、その病んだ心に反省を促しています。
「反省のあるところには必ず進歩がある。」そう信じて撞かれる鐘の余韻に耳を傾けたいものです。鐘の音は何かを心に響かせてくれる筈です。
除夜の鐘を聴きながら、今年一年を振り返り、清浄潔白な心になって新年を迎えたいものです。
今年は殊(こと)のほか悲しい出来事が多い一年でした。
今年もお世話になりありがとうございました。新しい年も良い一年でありますように。
「祈 健康・発展・平和・多幸!」 合掌
eお坊さんねっと 説話集より
参考:「天台宗法話集より抜粋・編集