説話(幸せってなんだっけ)

むかしむかしの、とある世界でのお話しです。「極楽でも地獄でも食事はするのだそうですが、ある時その食事の内容を比べてみたところ全く同じだったのです。食器も、おかずの味も、量も、食事時間もすべて同じなのですが、たった一つだけ異なったところがありました。 極楽ではにこやかに楽しげであるのに、地獄では食べ物を取るのに先を争いケンカが始まるのです。そこが違うのです。原因は箸の使い方にあるらしい。箸だって地獄も極楽も同じです。しかし、私達が普段使う箸とは違って数十倍長い箸なのです。ですから、その箸で食べ物を自分の口に入れようとすると、箸が長すぎてうまくいかない。地獄では我先に食べようと焦るものですから、隣の人を箸でつつくことになり、ケンカになるのです。ところが極楽では、その長い箸の利点を利用して遠くに座っている人に食べ物を食べさせているのです。お互いに助けあっているものですから、とても楽しげなのです。」この話しは、私達に本当の幸せとは何かということを語りかけています。
幸せとは、「仕合う」ことなのです。人の幸せのために何かを心がける。そうした中にこそ本当の幸せがあるのではということを考えさせられます。
eお坊さんねっと 説話集より
参考:「天台宗法話集より抜粋・編集