説話(道具)

説話(道具)
人類の文明発展には道具(ツール)の進化と密接な関係があります。時代を問わず沢山の道具の力を借りて発展してきました。この道具という言葉は僧侶が仏道修行を行なう為の持ち物(用具)のことを「道具」と呼んだのが始まりです。仏道の「道」と用具の「具」が合わさって「道具」です。
さてその用具とは何かです。その由来は古代(二千五百年位前)インドで、僧侶が修行するときに使う用具を「三衣一鉢」と言い、三種類の袈裟(日常生活用・屋内用・托鉢用の三種類)及び托鉢(たくはつ)の時に使う器(応量器)が基本とされています。これらは現代にも引き継がれ使われています。
このように修行に必需である最低限のものが元々の「道具」であり、目的を実現(達成)するという目的(修行)のために利用するものだったのです。
やがて道具が道具を作り(生み)今や道具なくしては生活が出来ないのです。危険なものも便利なものも溢れています。現代では「道具」という言い方より幅広い表現として「ツール」と云われます。物理的なもののみではなくソフト的なものも含みます。インターネット、パソコン、スマホ等などの発達もあり「ネット依存症」になり、明確な価値観が無い状態で「道具」に使われている現実に危惧します。ソフトな道具(ツール)の基本は言葉ツールです。言葉による暴力やいじめも幅広く社会問題化されている現実もあります。各々如何に利用するかこれが重要です。
「IT坊主の無駄方便」/eお坊さんねっと 説話集より