説話(こころの健康な人)

横浜市立大学名誉教授で教育心理学者の伊藤隆二先生が、「こころの健康な人」に多く見られた共通点を三つあげられています。
1.こころが安らいでいること。
2.打ち込むものがあること。
3.多くの人に喜びを分け与えていること。
逆にこれを欠いていると、こころは不健康だそうです。こころが安らいでいないことは、いつもイライラ、あせりがあるということ。いまある自分に満足できず、本当の自分はどこにあるのかと考えている状態です。打ち込むものがないというのは自分なりの才能を活かしていないので、満ち足りた気持ちになれない状態です。
そして、伊藤先生がこれまで人生問題を考えてきて気になることは現代文明の問題、「もっともっと、という考え方。より大きく、より多くという、とめどもなく欲望が膨らむ相対的な価値観がこころに安らぎを与えない。そういった価値観から、比較しない絶対的な価値観の人生、自分なりの人生、自分なりのこころ豊かな生き方へと転換していくことが、三つの共通点に即した、こころの健康が得られるのでは」と言われます。大事なことは、こころを豊かにする生き方が「幸せ」な人生につながるということです。
「IT坊主の無駄方便」/eお坊さんねっと 説話集より
参考:「天台宗法話集より抜粋・編集