説話(自然)

山、川、海、草木、動物、雨、風など、人の作為によらずに存在するものや現象のことをいいますが、仏教では「じねん」と読んで、「あるがまま」とか「おのずから」という意味で使われます。
一切のはからいや思い入れを離れた、悟りの境地を示す言葉として好んで使われました。ただ、すべてのものが「あるがまま」ということになると、人の努力の入る余地がなくなってしまい、放っておけばよいことになっています。そうではなく、ものごとをあるがままに生かし、自己を自由自在に生かすことが「自然」なのだという捉え方です。やがてこの言葉は、明治になって英語の「ネイチャー」の訳語にあてられ、読み方も「しぜん」となっていきました。
「ことばの旅」静岡県成道寺住職伊久美清智師著を参考&編集
「IT坊主の無駄方便」/eお坊さんねっと 説話集より