説話(相続とは)

仏教では、生きものの本体ともいうべき心は常に変化していて、一瞬たりとも同じ状態を続 けることはありえないと考えます。この考えでは、例えば自分ということで考えてみると、一瞬前の自分と今の自分とは別であるということになり一貫性がないことになってしまいます。すると仮に、人のものを盗んだとしても、盗んだ時の自分と今の自分とは別人なのだから何の罪にもならないという矛盾が生まれます。この疑問に答えるべく仏教では、一瞬一瞬は変化をしていくが、人の心はそれなりに一貫性をもってその人の心であり続ける。このことを説明したものがこの「相続」という言葉です。現代で使われている相続は、この意味合いから来ています。
「ことばの旅」静岡県成道寺住職伊久美清智師著を参考&編集
「IT坊主の無駄方便」/eお坊さんねっと 説話集より