説話(達者:たっしゃ)

「お達者でなよりです」とか「お達者ですか」と、体の健康状態を表すことばとして使われる「達者」は、本来「目標に達した人」つまり、悟った人のことをいいます。悟った人には「迷い」とか「むさぼり」とかがないから、悩みもなく、不安もない。あくまでも心静かで、すがすがしい状態である。転じて、心も身体も健康で、なにも心配する必要がないことを「達者」というようになりました。
目標に達した人という意味から「その道の達人」ということばがありますが、もともとの意味からいえば、「達者」も「達人」も同じような意味なのですが、達人には健康という意味はありません。職業にしても、趣味にしても、その道の奥義を極めるには並大抵の努力ではできませんが、「芸達者」というように、「そういったほうではなかなかお上手だ」いう程度に「達者」が使われています。
天候不順な昨今、どうぞお達者で日々をお過ごし下さい。
「ことばの旅」静岡県成道寺住職伊久美清智師著を参考&編集
「IT坊主の無駄方便」/eお坊さんねっと 説話集より