説話(心配り)

寺には宿坊をしているところがあります。宿坊と聞けば精進料理を思い浮かべる方も多いと思います。精進料理は肉類や香りのきつい物を使わず、野菜を中心とした料理ですが、それでも野菜の命を奪っているのですから、調理する側も日々精進です。
精進料理は何と言ってもヘルシーですし、見栄えも鮮やかでアイデア満載の料理です。ですから若い人にはおしゃれ感覚で受け止められている感じがありますし、関係書籍もたくさん売られていますから、その気になれば十分レシピ通りには作れるでしょうが何か違うのです。料理は調理する側も季節とか、食材や食べていただく人に対して心を配り、いただく側も調理してくださった方や食材に対して心を配る。そして、いただいた後は、片付けし易いようにお皿を整える。油物のお皿とそうでないお皿は重ねない。外食の場合などでは、おしぼりやゴミは一箇所にまとめる。等など考えられます。「心配り」です。心配りは一事が万事で立派な修行なのです。これを仏教では、「運心」と説き、「心を運ぶ」つまり「心配り」のことなのです。
「IT坊主の無駄方便」/eお坊さんねっと 説話集より
参考:「天台宗法話集より抜粋・編集