説話「開示」

近年多く使われる表現に“情報開示”があります。開示とは、「はっきり示すこと。説き、明かし示すこと。教え、さとすこと。」です。隠れていて(隠されていてかも)よく見えない状態のものが、知りたい、見たいという要望・希望のある人に対して見える化(見せる化)することです。但し、開示には重要な要素があります。それは「正しく開示する」ということです。正確に事実を開示することです。
そもそも「開示」は仏教経典で用いられた言葉で「仏の知見を開示し教え導くこと、仏がこの世に現われた目的」としています。仏ではなく人(開示者)には自己弁護が入りますから、受け手(開示される側)は開示内容について見極める判断力が必要です。従って受け手に対しては、「真理や深遠な教えに耳を傾けず、噂や裏話ばかりを耳にしたり、世の動きを裏面からのみ見たりして、真実を受け止める努力を怠ってはならない」と説いています。また、孔子(中国春秋時代の思想家、哲学者。需家の始祖)の教えに「礼に非ざるものを視るな、聴くな、行なうな」があります。
現代のように情報量も多く且つ、拡散速度が速い時代では、誇張された報道や誤った報道も氾濫しています。貴重な時間を誤報や風聞で振り回されないように判断する能力が問われます。
「IT坊主の無駄方便」/eお坊さんねっと 説話集より