説話「実際」

「物事のあるがままの状態。想像や理論でないこと。」を意味します。
この言葉、仏教経典に書かれている「ものごとの極み」が語源で、つまり「真実の際」を短縮して「実際」というようになったのです。また、『大品般若経(だいぼんはんにゃきょう)』という経典に「実際品」という一章があり、事象のもっとも真実にして究極的な境界を「実際」と名づけると説いて います。「すべての事物のありのままの姿」のことなのです。要するに「あるがまま」の事実を「あるがまま」に知るのが実際という意味合いであったのですがやがて、理想的なものは排除し現実に即した事を表現する意味合いとして使われるようになったのです。
この表現、うまく(というか巧妙に)使われていることがあります。例えば商品や製品の紹介の時の説明書(説明書きとかパンフレット含む)などに、ただ「実際の商品(製品)とは異なる場合があります。」などと記述されていることです。しかし、どこが(何が)どう異なるか記述されていない場合が圧倒的に多く、なんとなく納得してしまうことが多々あります。一見親切に感じてしまうことがありますが巧妙な使い方です。本当の実際をよくよく確認することをお忘れなく!
「IT坊主の無駄方便」/eお坊さんねっと 説話集より