説話「知事(ちじ)」

知事? そうです。都道府県の「知事」のことです。
日本での知事は、明治時代の初めに設けられた官職の一つで、造幣事務を取り扱う最高責任者でしたが、のちに、各都道府県を統括する代表者として、その最高責任者の職名となりました。
由来は中国で、中国での知事は州や県などの地方の長官を指していましたから、それがわが国に入ってきたのでしょう。
又、仏教とも関係があるのです。仏教では、寺院の雑事や庶務をつかさどるのが知事(僧侶)の仕事でした。
庶務をつかさどり、財物を保護し、諸僧の希望するものに適応し、戒律をよく保ち、公正な心の持ち主、そんな聖者を知事に任命したのです。禅宗寺院には六知事が設けられ、庶務を分担しています。
このように、仏教寺院にとって、仏道を修行する僧達のために、知事は重要な役割を持つ僧職だったのです。
「IT坊主の無駄方便」/eお坊さんねっと 説話集より
参考「楽しい仏教用語」(http://www.terakoya.com/yougo/b_yougo.html)より引用&編集