説話(長老)

どこの世界にでも「長老会議」といえば年配者たちが「若者たちにはまかせられねェ」などと言っている光景が想像できます。この「長老」という言葉もともとは「老人」のことには限りませんでした。語源は、修行をしっかり積んだ徳の高いお坊さんのことを指していました。また、「長老」には「寿命を有する」という意味もあるので「老人」と解釈されたのかもしれませんが、年をとったというよりも「生命力にあふれた」と言う意味で、活力にみちた立派な人を呼ぶときの尊称として使われていたのです。
以前、日本の政界のことを「長老政治」といったことがあります。比較的高齢の政治家が穏然たる実権を握って、政権を自分の思う方向に導こうとしたことからいわれたものですが、果たしてそのような人が「長老」といえるか。最近ではスポーツの世界においても長老政権のパワハラ問題がニュースになっています。因みに寺院においては、修行を積んだ若い修行僧のリーダーを「長老さん」と言っています。
「IT坊主の無駄方便」/eお坊さんねっと 説話集より
参考「仏教から生まれた日常の言葉」(耕雲寺:http://www.kouunji.or.jp/lecture/word87.html)より引用&編集