説話「それぞれの光」

阿弥陀経(あみだきょう)というお経に、極楽の池にある蓮(はす)の美しさを説いた箇所があります。「青い花は青い光を放ち、黄色の花は黄色の光を、赤も白もそれぞれの色の光を精一杯放って、互いに相手を照らし照らされていて実に美しい。他の蓮の花よりも我が美しいと自慢することもなく、劣ると卑下(ひげ)することもなく、それぞれの色光(カラー)を大事にすることで全体が大きく輝いている」と説かれています。
世界を飛び回ることも、額に汗してトラクターを操るもいい。美味しいラーメンを打ち込んでいる姿も美しい。つまり一人ひとりが自分の特性に目覚めて一途に打ち込んでやっていくことが大切と思えます。
昔も今も、大方の親は子どもに勉強しろと言い、良い成績をとらせて、よい学校に入れようと奮闘するものです。しかし子どもの特性を無視した考え方が果たして自分の特性に目覚めた大人になるだろうか。それぞれの子どもが、それぞれのカラーを出して、相互に切磋琢磨し頼もしく成長することを願いたいものです。
「こころと命の相談室」快栄寺(eお坊さんねっと)説話集より
参考:「天台宗法話集より抜粋・編集