檀家と菩提寺の関わり

日本では江戸時代に、寺請け(てらうけ)制度が敷かれました。これは、島原の乱(1637年〜38年)の後、幕府はキリスト教禁止を強化するため、どの家も仏教のいずれかの宗派に所属させ、寺院の檀家(檀徒)になるようにした制度で菩提寺の始まりです。この制度がきっかけで、始まったのが檀家制度です。これは日本だけにしかない特殊な制度で、僧侶を葬祭専門職化させ、宗派の体質を堕落させる要因にもなりました。
各宗派、各地域の文化などでそれぞれ檀家の捉え方(考え方)があるようですが、一つの捉え方として、檀家とは、その寺にお墓を持っている家のことを言います。この場合の、その寺のことを菩提寺(檀那寺、旦那寺ともいう)といいます。このような檀家と寺(菩提寺)関係について近年は、その結びつきが薄れ始めています。
先祖代々の墓は、いわば「墓質(はかじち)」となって寺の境内にあるため、関係を解消することは今までは稀(まれ)でしたが、昨今では核家族化や家意識の希薄化、少子化や都市部への人口流出などなど様々あり、寺をとりまく環境は大きく変化しています。従来、檀家制度という強固な集金システムに守られてきたこともあり、寺はぬるま湯状態となり、葬儀と法要だけを執り行う「葬式仏教」と揶揄されるまで形骸化したとも言われています。
人々の悩みを聞き、いききと生きるためのアドバイスをするという本来の役目(お釈迦さまの教え)を怠ったお寺は、淘汰される時代を迎えつつあります。又、各種事情や信条などにより、最近では檀家には入らない(又は檀家から外れていく)ご家庭が増えている現実にもあります。及び、最近では、首都圏に住む人々の約半数は菩提寺を持っていない実態にあるようです。檀家離れが急速に進んでいるのです。
eお坊さんねっと 説話集より