説話:天下取っても二合半

「起きて半畳、寝て一畳、天下取っても二合半」。人もうらやむほどの財産を手に入れたからといって、所詮人間、最低限1日に必要なスペース及び食べられる量には限度があります。
「成功してもしなくても人生はみな同じ、たいした差はありません。がつがつせず、ほどほどに、平穏に働いていれば幸せはついてくる。平穏無事な人生の中にこそ、真実を見つめる幸せがある」という仏教的な解釈です。
徳川家康は、「人の一生は重荷を背負いて遠き道を行くがごとし」と述懐(じゅっかい)しました。天下取りに成功したら成功したで、重荷は倍加するもの、生涯おろせないのが人間の苦、人生が苦ということにかけては成功者も失敗者も変わりはなく、成功が即幸せということにはならないものであることを言ったものです。また、天下を取った後も贅沢はせず、生涯質素な食事を通したようです。
eお坊さんねっと 説話集より