説話(心からのコミュニケーション)

人が物事を自分中心で主観的に考えるというのは固定観念に基づくからでしょう。いつも正しく判断できるわけではありません。ある人がいいと言うことを他の人が悪いと思うのは、その人の個人的な判断によるもので、それが客観的にいいものか悪いものかを決めることは非常に難しいことです。人はそれぞれ違う固定観念や概念で自分の世界を作ります。極論ですが自分の殻を作ってその中に入り込んでいると言うこともできます。社会の中でコミュニケーションを取っていると思ってはいても、自分の殻から外へ出て人の心と直接触れようとすることは難しいものです。
誰もがみんな自分という殻を持っていますから心からのコミュニケーションが取れていないことが往々にしてあります。しかし人は、自分の殻に閉じこもっているとは認めたくはないので、他人と適切にコミュニケーションしているのだ、人と心を通じあわせているのだと思いこんでいることが多々あります。もし互いに心底から理解できるようになっているならば、意識してのコミュニケーションは不要かもしれません。
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参考:「パティパダー巻頭法話」(http://j-theravada.net/howa/index.html):A・スマナサーラ長老より抜粋・編集