説話「逞(たくま)しく成長する」

「好き」なことだけをやって生きていられるならば最高に幸せだ、恵まれている事だ、と考えることがあるかもしれません。好きでない事をやらなくてはならない時は苦しみや不幸を感じます。
自分の仕事が好きでないとすると仕事をするのは苦なのです。ストレスが溜まって仕事の能率も下がるだけではなく、ついには健康まで損なう事にもなります。もっと自分の能力や才能を活かせる仕事があるはずだと妄想したり悩んだりもします。
人間関係の場合も同じで、好きな人々とだけ付き合っていられればどれほど楽かと思ったりします。しかし現実は甘くはありません。人は各種困難を乗り越えるためにも、勉強したり、研究したり、コミュニケーションをしたりしているのです。
人が好きなことだけをして、好きな人とだけ付き合って生活できる状況は夢のまた夢の話です。もしも好きなものに囲まれて生きられたとしても、今度は自分がそれらに依存してしまって離れられなくなるという状態に陥ります。いずれ独り立ちする必要があります。いつまでも過保護状態でなく適度な免疫をつける必要があります。適度な刺激やストレスは人間形成に役に立ちます。次第に免疫が身について逞しくなります。
eお坊さんねっと 説話集
参考:「パティパダー巻頭法話」(http://j-theravada.net/howa/index.html):A・スマナサーラ長老より抜粋・編集