説話(合掌の心)

二〇二〇年の五輪・パラリンピックの開催都市を決定する最終プレゼンテーションが行われ「東京」をアピールするプレゼンターを努めた女性キャスターは流暢なフランス語を駆使して立派にその任を果たし、最後は日本語で「お・も・て・な・し」と結び合掌して締め括った。その姿は優しく、美しく、そして「東京開催」を大きく引き寄せたと思います。
合掌は南アジアなどでは日常の挨拶としていますが、対象が、父・母ならば【孝養】となり、お互いに合掌し合えば【和合:穏(おだ)やかな気持ち】となり、目上・上司・先輩に向かい合掌すれば【敬愛:敬(うやま)いの心、親しみの心】を表すと言います。又、事物に向かって合掌すれば【感謝】となるのです。このように、
形は一つですが意味は色々有ります。
又、他人(ひと)から親切にされて「ありがとうございます」と素直に感謝の念を表す時の気持ち良さは、言った方も言われた方も最高ですし、周りの第三者まで明るくなります。
仏像の中には合掌の姿をされている方が居ます。慈悲そのものを形として表しており、私たちの心に秘めている仏性に対し合掌されているのでしょう。
仏さまの前での合掌にみならず、親子・兄弟・夫婦・師弟・仲間・友達・初対面の人にも合掌をする心を持ち続ける心掛けは即ち【慈悲】であり【想い遣り】です。ひいては「おもてなし」にも通ずるのではないでしょうか。
eお坊さんねっと 説話集より
参考:「天台宗法話集より抜粋・編集