四恩(しおん)

私たちは朝起きてから夜寝るまで、一日という時間を何気なく過ごしてしまっていることはないだろうか。ましてや、社会人ともなれば自分一人の力で生きている錯覚を感じることはないだろうか。しかし、私たちがこの世の中に生きるためには、いくつかの要素が関ってきます。
「四恩」本来の意味合いは、
『第一に父母の恩。文字通り生まれてより長く成長を見守ってくれている両親への感謝。
第二に衆生の恩。衆生とは生きるもの全てのこと。
第三に国王の恩。国王とは国政を担い我々が安心できる国作りをする長を示す。
第四に三宝の恩。三宝は仏・法・僧(尊き存在とその教え、そしてその教えを信じる同志)を指す。』となります。
しかし、この四恩を常に心に持ち生きてゆくことは非常に難しい時代です。年々人間関係が複雑になり全てに対して心からの感謝を表現することはそう容易いことではない現実が実に多くあります。地域社会が家族同様であった昔は過ぎ去り人々の希薄な関係は家族間にも及んでいる中で、それぞれが抱える苦しみ・怒りを心に封じ込め生きている人々が素直になれない状況や理解しがたい状況もあります。
しかし、自分が存在することには意味があること。自分が存在することは多くの人々からの恩恵の賜物であることなどに感謝することは大事なことです。
eお坊さんねっと 説話集より
参考:「天台宗法話集より抜粋・編集