説話(食事の変遷:昭和時代〜平成の食事)

お釈迦さま(仏教の開祖)は食について「食は、肉体を維持するためのものです。修行の支えになると共に、空腹の苦を無くします。しかし満腹の苦を起こしてはいけないのです。食によって過ちを犯さず穏やかに過ごせますように。」と説いています。
この食についての歴史を少し紐解いてみます。今回は、「昭和時代〜平成の食事」です。
昭和の時代初期は悲惨な戦争が多数あり戦前、戦中、復興期とそれ以降では生活は激変した時期でありました。昭和初期の食は、命を繋ぐ(生きる)為というものという時代であったのです。戦時中は、物資使用制限・配給統制がしかれ、その後、米穀等、配給が始まりましたが、遅配・欠配が多く人々は取締りに見つからないようにしながら地方の農家への買出し、又食料品等を高値で売買するヤミ市が賑わう時代でもありました。食糧の輸入は止まり凶作も重なり食糧問題が深刻化し、食生活は大きく制限された時代であったのです。
戦後、学校給食が開始(復活)されると給食にはパンが提供されるようにもなり、パン食が食生活の中に定着するきっかけになったのです。復興が進んでくると“家族団らん”で食事をというのが憧れのひとつにもなり、食卓の「ちゃぶ台」が代表例であり平和のひとつのシンボルだったのです。
時代が進み今や、電化製品等の普及も進み、スーパーマーケット、コンビニの展開、飲食チェインの拡大、インスタント食品も多数登場・拡大等々、様々便利な時代になっています。一方、公害問題や食品汚染などの問題も生じていると共に、伝統的よき食文化を伝える為に未来の子供達のための食育はどうあるべきか、安全・安心はどのように担保されるべき等が叫ばれ、新たな課題が山積の現代ですが、良い日本の文化は継承していきたいものです。
「IT坊主の無駄方便」/eお坊さんねっと 説話集より