説話(おもてなしの原点)

ニュースや報道などで海外から来られた方々から、日本の国や日本人の何気ない事柄を褒められているのを聞くと心地よく感じます。「どこへ行ってもゴミが少なくてきれい」、「昔からの伝統をきちんと守っていてその文化にふれると心が癒される」、「マナーが良く他人を思いやる気持ちがあり親切だ」等々。特段に意識して行っているわけではないこと、日常にしている事を特別な事のように捉えて褒められると驚くことがあります。
そんな日本の伝統や文化、日本人の心根とか、いったいどこから来ているものなのでしょうか。
その原点のひとつに、聖徳太子は日本という国を国際社会と肩を並べられるしっかりとした国家とする為に、初めて法律を定めました。「十七条の憲法」です。その第一条の冒頭の言葉に、『以和爲貴、無忤爲宗。』と書かれています。
現代的解釈は概ね、『和をなによりも大切なものとし、諍(いさか)いを起こさぬことを根本としなさい。』
となります。もう少し噛み砕くと、「自分以外の人の個性をちゃんと認めて、みんな仲良く幸せに生きていく事が大切である。」という事を国の礎にしたのです。こういった考えが、長い歴史の中で日本文化を育て、醸成してきたのでしょう。こんなことが今で言う「おもてなしの」原点のひとつになっているのかも知れません。
「IT坊主の無駄方便」/eお坊さんねっと 説話集より