説話(物の価値)

岡山県のある寺の住職の実話です。
参拝の方がある仏画を見て“これはいくらぐらいしますか?”と訪ねられたとき住職は、“値段は分かりませんがこの仏画は「岡山藩主の池田継政公が江戸で病気になられたとき藩主の枕元に観音様が現れて、“我は国元の東向き観音である。悩む心を前向きな心に変えれば病は治るであろう。”と告げられました。藩主が国元に使いを出して調べると国元の観音様は東向きでした。早速供養をされると病気はたちまちに治ったのです。それ以来、歴代の藩主は絵や書を奉納されてきました。奉納されたものは大切に守られ伝えられています。今、値段をお尋ねになったのはそのうちの一つです。他に作例がありませんので希少価値はあるのでしょうが値段は分かりません。有り余る由来があります。この絵が当寺にある由来や縁が大切と考えます。」と答えたのです。
これは寺宝に限ったことではありません。世の中には、いろんな人が関わり支えられて今あるものが多く存在します。今まで関わって(携わって)きた多くの人々の思いとか、その歴史、年輪、などなどの価値を理解する。金銭に代えられない大切なことだと思います。
「IT坊主の無駄方便」/eお坊さんねっと 説話集より
参考:「天台宗法話集より抜粋・編集