説話(勘弁)

「ごめんなさい」と同じような意味合いで使う「勘弁してください」という言葉の「勘」は「調べる」、「弁」は「見分ける」という意味があります。
師匠(先生)が、弟子(生徒)と個人面接を行い、その考えや心の働きを調べ、見きわめること。その上で、これならば合格ということになれば、「免許証」みたいなものが下りることになる。おそらくそのあたりから「勘弁する」は「許す」を意味するようになったと云われているようです。
「もういいかげんに勘弁してくださいよ」というのは、「もうこれだけ反省しているんですから、その私の心を見きわめて、これでよしという許可を下ろしてください」ということであり、「いやいや勘弁ならない」というのは「おまえのやったことは、とんでもなく悪いことだ。おまえの心の中がどうであろうと、そんなことに構ってはいられない。おれは本当に怒っているんだぞ」ということになる。なにげなく使っている言葉ですが、心理的な駆け引きが含まれています。
「ことばの旅」静岡県成道寺住職伊久美清智師著を参考&編集
「IT坊主の無駄方便」/eお坊さんねっと 説話集より