説話(玄人)

「その道の専門家」という意味に用いらいます。もとは中国で使われていた仏教用語です。
「玄」(げん)は「黒」のことですが、「墨染の衣」(すみぞめ)というように、中国で僧侶は基本的に黒い衣を着ていたので「玄人」、つまり「黒い人」というのはお坊さんのことをいいました。その対比で、お坊さんではない人のことを、「素人」(しろうと)つまり「白い人」とよんだのでした。やがて僧侶のことだけでなく、広く「その道の専門家」という意味に用いられるようになりました。価値多様化の現代、とかく玄人は、その専門のワクゆえに、えてして時代に取り残されがち、保守的になりがちです。「しょせん、素人の考えることは」などとタカをくくっていると、井の中のかわずになりかねません。
専門家の道もなかなか厳しいものがあります。しかし今日では、「プロフェッショナル」あるいは「その道のプロ」と言った方がなじみがいいようです。
「ことばの旅」静岡県成道寺住職伊久美清智師著を参考&編集
「IT坊主の無駄方便」/eお坊さんねっと 説話集より