説話「懐石(かいせき)」

そもそも懐石料理は茶席で招待した客に茶をすすめる前に出す手軽な料理のことで、茶懐石とも呼ばれています。
仏教では、「非時食(ひじじき)戒」という定めによって、修行僧は正午から翌日の暁まで食事が禁止されていました。そこで修行僧は、温めた石を布に包んで腹(ふところ)に入れ、飢えや寒さを防いだのです。これを薬石(やくせき)といいます。
後々になり禅宗では、晩にお粥(かゆ)を食べるようになったところから一般に夕食のことを薬石と呼んでいます。これには僧侶が健康を保つための薬という意味合いがあります。
このように温めた石をふところに入れること。及びお腹をあたためる程度に腹を満たす料理という意味から、やがて一般に「懐石料理」と言うようになったのです。
懐石料理を食べるときには、昔の修行僧のことを想像して、うんちくを語ってみるのもいいかも?
「IT坊主の無駄方便」/eお坊さんねっと 説話集より
参考「楽しい仏教用語」(http://www.terakoya.com/yougo/b_yougo.html)より引用&編集