身口意(しんくい)とは

あまりお馴染みではない言葉かも知れませんが、実は一般社会でもビジネス現場でも活用されてます。「業(ごう)を煮やす」という言葉がありますが、これは「物事が思うようにはかどらず、いらいらする時」に使う表現です。つまり「平静であった心の動きが怒りで激しくなる」と言う心情です。「業」とは仏教で、人がものごとを認識し種々の行いする際の「行い」(行動・行為)をいいます。 つまり、人の行い(業)に対して、心が怒る様を表すときに使うのが“業を煮やす”ということです。 この行いを“身体・言葉・心”の3つの業に分けたのが次です。
・身業(しんごう)―身体を動かす、使う、所作(立ち居振る舞い)のこと
・口業(くごう)―語業ともいう。口の作業(言葉を発する、唱える)、言語のこと
・意業(いごう)―意識や心を働かせる(考えたり、想定したり、感じたり、意識を集中する)こと
3つの業の頭文字をとって、身口意(しんくい)の三業(さんごう)といいます。
たとえば、「決まった姿勢(起立など)で、決まった言葉を唱え、意識を集中させる」という手法があります。こうした行いをさせることを、きれいな言葉で表現すれば「信心させる」、荒っぽい言葉で言うと「洗脳する」という表現になります。
たとえば「スローガンなどを唱え、高揚させる」というのは、まさに身口意の実践。これは関係者全員の一体感を強くする目的での活用です。他の活用例としては、集団での活動を行う場合に、何らかの共通事項(目標、理念、信条など)を掲げ、時には唱和したりして、仲間意識を継続・維持させようとして使われることもあります。また、コマーシャルなどで流れる耳障りのよいキャッチフレーズの連呼は、使い方の応用編でしょう。ついつい口ずさみ(軽い洗脳です)ませんか。
参考:『東京IT新聞 「IT坊主の無駄方便」』