説話「智目行足(ちもくぎょうそく)」

悟りを得るためには、知識と修行、どちらも必要なものだという仏教語です。「知識を目、修行を足」に例えたもので、「知目行足」とも書きます。
三つ子の魂百までもということわざもあります。どのような価値観の基で育てられたかが人生を大きく左右します。最近の親の大半が「人に迷惑をかけない人に育てる」を主眼にしているようです。
しかし人間の子は、人に迷惑をかけ献身的努力に支えられて育ちます。このことなしに生きられない人の子のために神は、「あどけなく、憎めない笑顔」を与えたのです。子の笑顔は世話をする人にその苦労も迷惑も忘れさせる力を秘めています。
家庭教育では、「あなたは周囲の人に沢山迷惑をかけ支えられて育ったのですよ。こういったことを理解し、感謝することは大切ですよ。」という事を教えなければいけないひとつに組み込むことです。
人に迷惑をかけないという内向けの教育を受けた子は成長して、人から迷惑をかけられることを避け、その結果、無縁社会発生の一因にも連なるということを親は知るべきです。
知らず知らずのうちに体験したことは人の成長に大きく影響します。「生まれより育ち」そのものです。
eお坊さんねっと 説話集より
参考:「天台宗法話集より抜粋・編集